私たちが食べた物に含まれる炭水化物はブドウ糖に分解されて血液中に入り、いろいろな細胞に運ばれてエネルギーとして利用されます。このとき、すい臓のβ細胞で作られるインスリンというホルモンが血液中のブドウ糖の細胞への取り込みを助けます。このインスリンの量が減ったり、はたらきが悪くなると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれなくなり、血液中にブドウ糖があふれている状態(高血糖)になります。
わたしたちの体は、血糖値がある一定範囲内になるよう調節しています。そのなかでも血糖値が高くなりすぎないように調節しているのが、インスリンというすい臓から分泌されているホルモンです。
血糖値が高くなると、インスリンはたくさん分泌され、ブドウ糖を細胞に取り込むように働いて、血糖値が高くなりすぎないようにします。
インスリンはブドウ糖を必要なだけ細胞に取り込むことができます。
インスリンの量が不足すると、ブドウ糖を細胞に取り込むことができず高血糖になります。
インスリンの量は十分でも、働きが悪くなるとブドウ糖を細胞に取り込むことができず高血糖になります。
高血糖状態が続くと、体のなかではいろいろな変化が起こります。しかし、糖尿病の初期は目立った症状はあまり見られません。
症状が見られる頃には病気が進行していますので、たとえ自覚症状がなくても、きちんと治療を受けましょう。
血液検査では「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の値を調べて、糖尿病かどうかを診断します。
血糖値は血液1dL(100mL)にブドウ糖が何mg含まれているかを表します。
血糖検査には次の3種類があります。
・空腹時血糖値
検査当日の朝まで10時間以上絶食し、空腹の状態で血糖値を測定する
・ブドウ糖負荷試験2時間値
75gのブドウ糖を飲んで、2時間後の血糖値を測定する
・随時血糖値
時間を決めずに血糖値を測定する
HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の平均を表します。
・①~③のいずれかと④にあてはまる場合
・初回検査、再検査のいずれも糖尿病型の場合
ただし、初回検査と再検査の少なくとも一方で①~③のいずれかを満たすこと
①早朝空腹時血糖値≧126mg/dL
②ブドウ糖負荷試験2時間値≧200mg/dL
③随時血糖値≧200mg/dL
④HbA1c(NGSP値)≧6.5%
①~④のいずれかにあてはまる場合、糖尿病型と判定する。
※詳しくは医療スタッフにご相談ください。
患者さん自身が、いつでもどこでも自分で血糖値を測定することができる小型の血糖測定器です。
食事療法は糖尿病治療のかなめです。1日3回規則正しく栄養バランスのよい食事を心がけましょう。目標とする摂取カロリーは個人によって異なりますので、医療スタッフの指導に従うようにしましょう。
運動療法は、食事療法とともに糖尿病治療のかなめです。運動によりブドウ糖が消費されて血糖値が下がったり、インスリンの働きをよくする効果もあります。自分に合った運動メニューで、毎日少しずつでも継続することが大切です。
食事療法と運動療法を行っても、血糖コントロールが不十分な場合は、薬物療法を行います。薬物療法には、飲み薬(経口血糖降下薬)と在宅自己注射(インスリン、GLP-1)があり、糖尿病の種類や病態によって治療法は変わります。
糖尿病の治療では正しい知識を身につけ、適正な血糖値を保つようにコントロールすることが重要です。きちんと治療を続け、血糖値を上手にコントロールすることができれば、合併症を防ぐこともできますし、健康な人と変わらない生活を送ることもできます。家族や友人にも協力してもらい、医療スタッフとも連携しながら、積極的に立ち向かっていくことが大切です。
・エレベーターではなく階段を使う
・バス停をひとつ手前で降りて歩く
・ウォーキングをする
・ストレッチをする など
「運動」=「少し体を動かすこと」です。
自分に合った運動を日常生活に取り入れてみましょう。
・間食を減らす
・ジュースではなくお茶や水にする
・腹八分目を心がける
・よく噛んでゆっくり食べる など