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2012年3月27日
アークレイは、2009年にヒトの遺伝子を構成している塩基配列を検査する全自動SNPs検査装置「i-densy™ IS-5310」を発売し、国内の研究機関を中心に技術的サポートを積極的に行ってきました。その活動の中で得られた抗がん剤治療の遺伝子検査に関する研究成果を、米国がん学会で発表します。
一般的に固形がんの検査では、がん組織を被験者から採取する必要があり、危険を伴うと同時に、検査の機会を得にくいという問題があります。一方で、これらがん組織の遺伝子は血液中にも漏れ出ていることが知られています。しかし、血液中に含まれるがん組織のDNAはごくわずかであり、血液からがん組織の遺伝子変異を検出することは困難です。当社の技術を用いることにより、血液からこの変異を検出できる可能性が見えてきました。今後、さらに研究を進めることで、簡便な採血のみで固形がんの遺伝子変異を検出することができるようになると考えられます。
アークレイは、これからも遺伝子分野に積極的に取り組み、医療現場を通じて社会全体に大きく貢献していきます。
①抗がん剤などの薬効副作用に関連する遺伝子の配列(SNPs)は熟練した技術者が長時間をかけて測定することが一般的ですが、簡便化と迅速化が望まれています。今回、「i-densy™ IS-5310」を用いることで、肺がん治療薬の一種であるエルロチニブの副作用に関連するSNPsを全自動かつ短時間で測定した結果を発表します。
②肺がん治療薬ゲフィチニブやエルロチニブは、多くの患者様において投与後1年程度で耐性が生じることが知られています。その原因の約50%はEGFR遺伝子の変異であることが知られていますが、肺がん組織そのものを採取することは危険を伴うため、侵襲性の低い検査方法の開発が望まれています。そこで、ゲフィチニブやエルロチニブへの耐性を獲得した患者様の血液から「i-densy™ IS-5310」を用いてEGFR遺伝子の変異を測定した結果を発表します。
遺伝子型を判定することにより、個人の病状や体質に合わせた薬剤の選択・投与量の推定を通じて、副作用の少ない医療を実現する「テーラーメイド医療」の研究が急速に進んでいます。
このような投薬前診断を行うための遺伝子検査は、煩雑で高度な操作技能を必要とし、結果が出るまでに長い時間を要していました。「i-densy™ IS-5310」では、1台で血液等の検体からDNA抽出、遺伝子の増幅から判定までを自動化し、数日を要した遺伝子型判定が約80分で可能となります。
「i-densy™ IS-5310」を用いることで、迅速な治療方針の決定、患者様の負担軽減、医療費の削減などに大きく貢献することが可能です。