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2017年8月22日

1台で多様な検体に対応

糖尿病検査装置を新発売

- 1検体24秒の高速測定を実現・変異ヘモグロビン検出機能も標準装備 -

アークレイ株式会社は、全国の医療機関に向けてグリコヘモグロビン分析装置「アダムス A1c  HA-8190V」を2017年8月28日(月)に発売します。HPLC法※1を用いたHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)※2の高精度測定と頻度の高い変異ヘモグロビン※3の分離(検出)機能を1台に搭載し、多様な検体をより正確・簡便に測定することが可能となります。また、HbA1cは1検体24秒の高速測定を実現し、糖尿病検査におけるHbA1c測定の増加に対応します。

現在、日本における糖尿病人口は約720万人に上り(世界第9位)※4、検査による早期発見・治療が不可欠とされています。糖尿病の検査項目のうち、過去1~2ヵ月の平均血糖値を反映するマーカーであるHbA1cの値は、糖尿病診断や治療において重要な指標と位置づけられています。また、近年の国際化の進展を受けて、日本でもHbA1cの測定値に影響を与える変異ヘモグロビンを有する患者さまが医療機関を受診するケースが増えています。これに伴い、より正確な診断を行うため院内で変異ヘモグロビンを検出するニーズも高まっています。

アークレイ株式会社(以下、アークレイ)では変異ヘモグロビンに対応した検査装置として、日本国内では2014年から大型の「アダムスA1c HA-8180V」「アダムスA1c HA-8180T」を、2016年より小型の「アダムス A1c ライト HA-8380V」を販売しています。このたび発売する「アダムス A1c  HA-8190V」は「アダムスA1c HA-8180V」の後継機種で、HbA1c測定と変異ヘモグロビンの分離(検出)の2つのモードを1台に標準装備しています。HbA1c(Fast mode)の測定時間は48秒から24秒の約1/2に、変異ヘモグロビン(Variant mode)は90秒から58秒に短縮し糖尿病検査におけるHbA1c検査の増加に対応します。また、採血管の自動整列機能やタッチパネルの採用でユーザビリティの向上を図りました。

アークレイは糖尿病検査のパイオニア企業として、これからも関連製品のラインアップ充実を図るとともに、変異ヘモグロビン測定等の新たな検査の意義啓発に努め、多様化する糖尿病医療現場での診断・治療に貢献します。

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製品の特長

○高精度・迅速測定

・HPLC法により、HbA1c測定から変異ヘモグロビンの検出まで高い精度で実施できます。

・2モードを搭載し、「Fast mode」ではHbA1cを24秒/検体で測定。「Variant mode」では変異ヘモグロビン(HbS、HbC、HbE、HbD)を58秒/検体で分離(検出)します。またシステム連携により、検体ごとに測定モードを自動で切り替えられ、診療前検査や臨床へのデータフィードバックを迅速に行えます。

・測定結果には各ピークの情報やクロマトグラムなど、分画されたヘモグロビンの解析結果が出力され、結果判定に役立てられます。また、NGSP値のほかIFCC値の出力も可能です。

・HbA1c値の算出に影響を及ぼすHbF値が高値となった場合、自動で補正します。※5

○ユーザビリティの向上

・自動で採血管を回転させながらバーコードを読み取ることが可能となり、面倒な整列作業が不要です。

・操作パネルに7インチのタッチパネル付カラーLCDを採用。感圧式タッチパネルのため、ゴム手袋をしたまま操作できます。

・カラムとプレフィルタを一体化しているため、プレフィルタの交換が不要です。

・日常のメンテナンスには工具をほとんど使うことなく、簡単に消耗品の交換ができます。

○管理機能を搭載

・試薬に記載されたバーコードを読み取り、ロット番号や有効期限の管理を行うことが可能です。

・オペレーターIDを事前に登録すると、測定結果に測定者の名前を印字・記録できます。

○グルコース測定装置との連結が可能

・グルコース測定装置「アダムス グルコース GA-1172」と連結することで、糖尿病検査に必須のHbA1cと血糖値(グルコース)を同時測定でき、検査の迅速化や作業の効率化に貢献します。

語句解説

※1 HPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)
HPLC法は、多くの成分からなる混合物を分離し各物質の比率を求める方法であり、高精度でHbA1cを測定できます。アークレイは1981年に世界初のHPLC法を用いたHbA1c専用測定装置を開発し、現在も多くの診療現場で使われています。

※2 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
赤血球中のヘモグロビンとブドウ糖が結びついて生成され、過去1~2ヵ月の平均血糖値を反映するマーカーです。 2010年の糖尿病診断基準の改訂や2012年のHbA1c値の国際標準化などを背景に、糖尿病診断や治療において血糖コントロール指標として重要な検査項目と位置づけられており、糖尿病検査の現場では、血糖(血中グルコース)の測定に加えて、HbA1cの即時測定に対するニーズが高まっています。

※3 変異ヘモグロビン
遺伝子変異により赤血球中に存在するヘモグロビンのアミノ酸の置換が生じ、ヘモグロビンの立体構造が変化したものです。変異ヘモグロビンの種類は数多く存在しますが、その中でよく知られているものに「HbS」「HbC」「HbE」「HbD」が挙げられます。 変異ヘモグロビンの保有者は東南アジアやアフリカに多いとされますが、日本人でも2,000~3,000人に1人は変異を保有するといわれています。今後、外国人の患者さまの増加に伴い、都市部を中心に検出頻度が増えていくと予想されます。

※4 糖尿病患者数の推計
国際糖尿病連合「糖尿病アトラス 第7版 2015(Diabetes Atlas 2015)」より

※5 HbF(ヘモグロビンF)の自動補正
HbFは、胎生期のヘモグロビンの大半を占めるヘモグロビンです。出生後、HbAの合成が増加するのに伴いHbFの合成は減少し、生後6ヵ月から1年後には全体の約1%以下になります。 HbF高値検体ではHbFの影響でHbA1cが偽低値化する傾向があります。自動で補正をかけることで、より真値に近い値を出すことができるようになります(参考値として算出)。

アダムス A1c HA-8190Vの概要

名称 アダムス A1c HA-8190V
発売日 2017年8月28日(月)
仕様
   測定対象 全血または溶血検体
   測定項目 HbA1c(ステイブルHbA1c)、HbF
(Variant modeではHbS、HbCを分離、HbE、HbD検出可能)
   測定原理 逆相分配陽イオン交換クロマトグラフィー
   必要検体量 採血管:採血管の下端から10mm以上、サンプルカップ:400μL以上
   処理速度 Fast mode:24秒/検体、Variant mode:58秒/検体
   消費電力 300VA
   外形寸法 530(幅)×530(奥行)×530(高さ)mm
※突起部、溶離液パック、溶血洗浄液ボトルを除く
   重量 本体:約41kg、サンプラーユニット:約4 kg
販売価格 希望納入価格8,200,000円(税別)
届出番号 25B1X00001000055
クラス分類 クラスⅠ(一般医療機器)/特定保守管理医療機器

※積水メディカル株式会社との共同開発品です。

本製品は「アークレイマーケティング株式会社」が販売します。
「アークレイマーケティング株式会社」はアークレイの日本国内の販売統括会社です。