食物中の糖質(デンプンなど)はブドウ糖に分解されて血液中に入り、いろいろな細胞に運ばれてエネルギーとして利用されます。血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことで、1dL(100mL)の血液中に何mgのブドウ糖が含まれているかで表します。
血糖値は食後に高くなるなど、検査のタイミングによって変動します。
わたしたちの体は、血糖値がある一定範囲内になるよう調節しています。そのなかでも血糖値が高くなりすぎないように調節しているのが、インスリンというすい臓から分泌されているホルモンです。
血糖値が高くなると、インスリンはたくさん分泌され、ブドウ糖を細胞に取り込むように働いて、血糖値が高くなりすぎないようにします。
インスリンはブドウ糖を細胞に取り込ませて、血糖値を下げます。
インスリンの量が不足すると、ブドウ糖を細胞に取り込むことができず血液中に余るので高血糖になります。
インスリンの量は十分でも、働きが悪くなるとブドウ糖を細胞に取り込むことができず同じく高血糖になります。
インスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりすると血糖値が高くなります。
このように高血糖状態が続く状態が糖尿病です。
血糖値が高い状態が長く続くと、さまざまな合併症を発症させたり、進展させたりするおそれがあるので、糖尿病の治療では血糖値をできるだけ正常値にコントロールすることがとても重要です。
糖尿病の治療は日々の血糖のコントロールが基本です。医療機関だけではなく、自宅でも血糖値の動きを自分で把握することは意義があり、一部の患者さんには保険が適応されます。
日常の生活でも血糖値を確認できるようにしたのが血糖自己測定(SMBG)です。
【SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose の略で、血糖自己測定を意味する】
いろいろなタイミングで血糖値を測ることで、日常生活のひとつひとつの行動が血糖値にどのように影響を与えるのかがみえてきます。
・しばしば低血糖を起こす方
・1型糖尿病の方
・2型糖尿病でインスリンやGLP-1受容体作動薬による治療を受けている方
・妊娠中、または妊娠を希望される方
血糖自己測定は、自宅でも簡単にできます。
血糖自己測定器を使用して、以下のような手順で測定します。
血糖値は食事、運動、ストレスなどの影響を受けます。それらの影響が把握できるポイントと24時間の動きがわかるようなときに測定しましょう。
のぞましい測定ポイントについては主治医の先生と相談して決めましょう。
測定ポイントが決まったら、下表のような表を作成し○を記入しましょう。
正しい方法で測定しなければ、正しい結果は得られません。
正しく測定できているか確認してみましょう。
血液が出ないとき無理にしぼり出していませんか?
無理に血液を押し出すと細胞の液(間質液)が血液に混ざり、正しい値が得られないことがあります。
指の付け根から穿刺部位に向かって、ゆっくりと指をもむようにして血液を出しましょう。
それでも血液が十分に出ない場合は、別の部位を穿刺したり、穿刺器具の穿刺レベルを変えましょう。
測定部分は十分に乾かしてから測定していますか?
測定部分に消毒液や汗、水がついていると正しい測定結果が得られません。
消毒液などは、十分に乾かしてから測定しましょう。
また、センサーは乾いた手で扱いましょう。
血液の量は足りていますか?
測定器によって必要な血液量は異なります。
血液を二度付けしたりせず、一度で十分な血液量を吸引しましょう。
SMBGの結果は自己管理ノートに記録しましょう。
測定値だけでなく、食事や運動などの血糖値を変化させる原因となるような行動も備考欄にメモしておくと役立ちます。
SMBGの結果を記録するだけではなく、なぜそのような値が得られたのか、原因を考えることも大切です。