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2012年8月9日

世界初の全自動ヘモグロビンA1c測定装置
「分析機器・科学機器遺産」に認定

検体検査機器・体外診断用医薬品メーカーのアークレイ株式会社(本社:京都市中京区)が1981年に 開発・販売したグリコヘモグロビン自動分画測定装置AUTO A1c HA-8110が、社団法人 日本分析機器工業会と一般社団法人日本科学機器協会が導入した「分析機器・科学機器遺産」認定 制度において、遺産に認定されました。ヘモグロビンA1c(HbA1c)の測定を自動化した世界初の装置 として、糖尿病検査の新時代を拓いたことが高く評価されました。


グリコヘモグロビン自動分画測定装置AUTO A1c HA-8110 (1981年)


このたび、「分析機器・科学機器遺産」に認定された当社の 「AUTO A1c HA-8110 」 は、HbA1cの測定を自動化した世界で最初の装置です。過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映するHbA1cは、糖尿病のスクリーニングや診断、治療において欠かすことのできない臨床検査項目とされてきました。しかし本装置を発売した1981年当時、HbA1c測定法は、測定に手間がかかり多くの検体を測定できないものや、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の専門的技術が必要なものであったため、HbA1cの測定は大学病院など一部の施設に限られていました。「AUTO A1c HA-8110 」 の特徴は、1検体あたり13分という処理能力と操作性の高さにあり、本装置のために開発された専用カラムと徹底した専用機化・自動化技術により、これらが可能となりました。本装置は従来の測定法の問題を一気に解決し、HbA1cの普及を促すとともに、すべての糖尿病患者様が等しくHbA1c検査を受診できる治療環境へと大きな変化をもたらしました。

※本装置は、積水化学工業株式会社(現 積水メディカル株式会社)との共同開発品です。


語句説明

○HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
赤血球中のヘモグロビンとブドウ糖が結びついて生成されます。過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映するため、糖尿病診断から治療までの広範囲な領域で、血糖コントロール指標として重要な検査項目に位置づけられています。2010年7月1日から施行された新しい糖尿病診断基準では、HbA1cが糖尿病型と判定するための検査項目として追加され、より重要な指標として位置づけられました。HbA1c値が基準値を超え、血糖値が従来の基準を超えていれば、1回の検査で糖尿病と診断されます。

○HPLC (High Performance Liquid Chromatography : 高速液体クロマトグラフィー)
HPLCは、多くの成分からなる混合物を分離し各物質の比率を求める方法であり、国内のHbA1c標準測定法であるKO500法でもHPLCが採用されています。アークレイのHbA1c測定装置の最新機種 「アダムスA1c HA-8181」 は、HPLCによる高精度の測定を、1検体あたり38秒という速さで実現しています。


「分析機器・科学機器遺産」 認定事業について

○概要
社団法人日本分析機器工業会(会長:服部 重彦/株式会社 島津製作所 代表取締役会長)と一般社団法人日本科学機器協会(会長:矢澤 英人/株式会社ダルトン 代表取締役社長)が、日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献した貴重な分析技術/分析機器や科学機器を、文化的遺産として後世に伝えることを目的に導入した認定制度。このたび20件が認定されました。今回は会員企業1社につき2件までの募集に対して49件の応募があり、産・官・学の有識者6名により厳正に審議・選定されました。選定された機器は、いずれも発売当時、世界に誇る機器・技術であり、次世代に継承されるべき「科学のちから」とされています。

○認定基準

(1)分析計測技術・機器ならびに科学技術・機器の発展史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な 意義を持つもので、次の基準を満たすもの

・対象とする科学技術及び機器の発展の重要な側面及び段階を示すもの
・国際的に見て日本の科学技術及び機器発展の独自性を示すもの
・新たな科学技術及び機器分野の創造に寄与したもの

(2)国民生活、経済、社会、文化のあり方に顕著な影響を与えたもので、次の基準を満たすもの

・国民生活の発展、新たな生活様式の創出に顕著な役割を果したもの
・日本経済の発展と国際的地位の向上に一時代を画するような顕著な貢献のあったもの
・社会、文化と科学技術及び機器の関わりにおいて重要な事象を示すもの

○認定対象の分類
(1)保存、収集された機器
(2)歴史的意義のある技術や機器の関連文書並びに試料類

○認定品の展示と認定証授与式
9月5日(水)から幕張メッセで開催する展示会・JASIS 2012にて認定証授与式を行うとともに会期中、展示会場内で展示を行います。