マイクロRNAによる膵がん早期発見の研究

がんの進行度合いはStage0~Ⅳに分けられ、Stage数が小さいほど予後が良いといわれています。
膵臓に発生する「膵がん」は、40%以上がStageⅣの段階で発見されます。StageⅣで発見された場合の5年生存率は5%未満となるため、非常に予後の悪いがんの一つです。早期発見が重要ですが、Stage0の膵がんの多くは特異的な症状が乏しいことから、発見が難しいといわれています。早期発見の場合の10年生存率は90%以上と報告されており、予後改善のためにも早期発見が重要となります。

これらの背景を踏まえ、アークレイは京都大学等14施設と共同で、膵がんを早期に発見するための侵襲性の低い新たなツールの開発に取り組んでいます。2024年8月28日には、京都大学との共同記者会見を実施し、血中マイクロRNAの網羅的な解析により膵がん発症の有無を高精度に識別できることを発表しました。早期の膵がん患者検体も非がん対照者検体と高精度に識別できたことから、膵がんを早期に発見できる侵襲性の低い新たな検査法となる可能性を示しました。

現在は臨床現場で同様の結果を出せるよう、研究開発に取り組んでいます。厳密に条件をコントロールされている実験室とは違い、さまざまな状況が考えられる臨床現場でも精度の高い結果が出せるよう、確認・検討を続けています。
今後は、人間ドックなどのオプション検査として採血管1本分(数mL)の血液で検査できるよう、社会実装に向けた研究開発に取り組んでいきます。

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