製品ヒストリー/尿検査

ARKRAY 尿検査のフラッグシップモデル"オーションマックス AX-4060"

1番であり続けるために

世界初の尿自動分析システム オーションアナライザー UA-6(1972)
世界初の尿自動分析システム
オーションアナライザー UA-6(1972)

1972年に世界で初めて、尿試験紙を用いた自動分析システム「オーションアナライザー UA-6」を開発して以来、世界の尿検査自動化はアークレイが牽引してきたと言っても過言ではないでしょう。
その開発から10数年、1985年には全自動尿分析装置「スーパーオーション SA-4220」を世界に先駆けて開発し販売しました。それは人間が試験紙を尿に浸すやり方をロボットアームで再現した画期的なものでした。スーパーオーション発売後も、常に全自動尿分析装置にこだわりを持ち、新しい価値をお客様に提供し続けてきました。少量の検体でも測定できるようにノズル吸引点着方式とし、試験紙をカートリッジ化して使い勝手を向上させた「スーパーオーションⅡ」、色調、濁度を項目に追加し、ターンテーブルとラックの2種類の検体供給に対応した「スーパーオーションEX(エクストラ)」。
そして、尿検査自動化技術の集大成として登場した「オーションマックスAX-4280」は、まさに全自動尿検査装置の最高(MAX)として、誕生以来今日まで世界中で活躍しています。
2013年には、尿分析装置のパイオニアとしてTOPであり続けるという決意のもと、「オーションマックス」の名を冠した装置「オーションマックス AX-4060」を開発しました。

完成形?試験紙フィーダー

本来尿試験紙はフィルムに濾紙が貼り付けられた、長くて軽く、もろいものです。その試験紙を1枚ずつ正確に取り出す機構が試験紙フィーダーです。この試験紙フィーダーがオーションマックスの特徴を決めるユニットであるともいえます。数百枚の試験紙を16秒に1回1枚ずつ取り出す。この機構が尿試験紙測定の全自動化においての起点であり、開発時に苦労した点であるとも言えます。
今回、MAXの名にふさわしいまさにフィーダーの完成形を目指して開発が進められました。

この機構の基本原理は、1988年当時から変わっていません。
テーブルに試験紙が1枚しか通過できない凹みを設け、左右にテーブルを揺らしながらその溝に上手く試験紙を導く。そして試験紙収納部を仕切る壁の下を通過させ、1枚の試験紙が出てくるようにする。この動作は、強くすると濾紙がはがれてしまい、試験紙を駄目にしてしまいますし、逆に、弱いといつまでも出てきません。そこにはアークレイの技術が集約されているのです。

最新の機種では、この溝が付いたテーブルがドラム状になっており、回転することで試験紙を取り出します。しかも、試験紙をストックするエリアが2箇所設けられ、異なる試験紙を任意に選択することも可能となりました。また、搭載できる試験紙の枚数も増え、裏表を判別して、絶えず表向けにする機構も追加されました。

2種類の試験紙をセットできる試験紙フィーダー
2種類の試験紙をセットできる
試験紙フィーダー

フィーダー内部の動き ドラム状に回転し、試験紙を1枚だけ取り出す
フィーダー内部の動き
ドラム状に回転し、試験紙を1枚だけ取り出す

全ては正しい測定結果を得るために―ノズルの洗浄と検体の希釈

オーションマックスは、ノズルで吸引した尿検体を試験紙に点着して測定します。この点着が正確に行われないと、当然試薬は正しい反応を起こせません。ノズルの洗浄も、また苦労した点です。
16秒に1回の測定を繰り返す高速処理、この16秒の間に、尿を試験紙に点着するだけではなく、次の測定に備えてノズルをきれいに洗浄しなければなりません。洗浄を疎かにすると、前回測定した検体が混入し、所謂コンタミネーション(前液汚染)を起こしてしまいます。しかし、洗浄に時間を取られすぎると、次の検体の吸引時にノズル内に洗浄液が残ることになり、検体を洗浄液で希釈してしまう可能性があります。この相反する現象をどのようにして克服するかに頭を悩ませました。もちろん、時間をかけることができるならばもっと簡単であったと思いますが、全てを16秒以内に完了させることが難しかったのです。
そこで思いついたのが、検体と洗浄液の間と、検体と検体の間にエアセグメントを入れてノズル内の検体汚染をエアで区切る手法です。しかし、このエアセグメントにも弱点がありました。エアセグメントは、ちょうど緩衝材のような作用があり、配管内で正確に液を動かそうとしても伸びたり縮んだりする、なかなかの厄介者なのです。対策として、液を動かす際に、エアセグメントを有効的に挿入できるように流路系を工夫しました。エアセグメントを含んだ部分を専用の流路に導き、第2の流路系に切り替えてエアセグメントが無い流路系で点着動作を行い、元の流路系に戻して洗浄を行う。
この工夫のおかげで、最新型のオーションマックスは検体汚染や洗浄液による希釈をほぼ完全に無くすことに成功し、試験紙の性能を100%引き出すことに成功したのです。

終わりに

全自動尿検査装置のMAXであるという意味のこめられたオーションマックス。それを超えるのは次のMAXでなければいけないという思いで開発を行いました。ここで紹介したことは、MAXを開発する上で検討した機能のほんの一部でしかありません。
オーションマックスは最高(MAX)を目指して作られた商品であり、現時点での最高の商品であると言えるでしょう。

最新機種 オーションマックス AX-4060
最新機種 オーションマックス AX-4060

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